バスレフの最適設計その2

バスレフ・アラインメントによるエンクロージャー容量の計算ツールを見つけました。

Calculate box size using bass reflex alignments

 

どうも、CHR-70Gen3/NC7/STBP35の低音がしっくりこないので、

このツールで検討してみます。

 

使い方は簡単で、

Fs=65.4Hz, Vas=5.17liters, Port daimeter=3.5cmのように設定して、

SBB4: Qts=0.55などのラジオボタンをクリックするだけです。

 

この計算結果にしたがって、

NC7は10litters程度の容量なので吸音材を入れて、

STBP35のポート長を48mmの設定にすれば、

100Hz付近に1.7dBのピークをもつ、

f3=60Hzの特性が実現できるようです。

 

実際にポート長を調整して試聴してみると、

108mmのときに比べて、

低音の気持ち悪い感じはなくなります。

 

Qts=0.4からの乖離が大きいドライバを利用する場合は、

平坦条件(バタワース)が実現できないので、

他のアラインメントを選択する必要があります。

 

このツールでは、3つのアラインメント(QB3, SBB4, SC4)と

3つのQL(3, 7, 15)の組み合わせから、

Qtsを選択するようになっています。

 

3つのアラインメントの特徴をまとめておきます。

 

QB3:

3次準バタワース

小さな箱で低いf3(-3dBのカットオフ周波数)を生み出す、

最も一般的なバスレフ・アラインメント。

ただし、過渡特性はSBB4やSC4に劣る。

 

SBB4:

4次スーパー・ブーム・ボックス

大きな箱と長いポートで過渡特性がよい。

 

SC4:

4次サブ・チェビシェフ

SBB4と同じ箱の大きさとf3だが、ポートの共振周波数が異なる。

過渡特性がSBB4よりもやや劣る。

 

実際の設計では、

最後まで可変できるパラメータは通常、

吸音材による容量の調整とポートの長さの調整しかないので、

あらかじめ実現できる特性にあたりをつけておかないと、

調整しきれないことになります。

 

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バスレフポートの共振周波数と群遅延

エージングをしながら、どうも低音がしっくりこないので、

バスレフポートの長さを変えて見ました。

シミュレーションとしては以下の通りです。

共通:CHR70, fs=68Hz, NC7, Vo=10.2L

STBP35-103mm, fd=47Hz, Group Delay=25ms

STBP35-73mm, fd=53Hz, Group Delay=20ms

STBP35-43mm, fd=64Hz, Group Delay=18ms

音の変化としては、

ポートを短くすると群遅延が小さくなって、

いわゆるキレのよい低音になります。

テストトーンによるレスポンス測定では、

いずれのポート長でも55Hzまでは十分出ているので、

このユニットとエンクロージャーでは、

ポート長は43mmで十分のようです。

 

一般的に群遅延は20ms以下(50Hz)が望ましいとされているようですが、

実際の聴感としても、

群遅延が20msを超えると、

長時間のリスニングでは、

聴き疲れ(乗り物酔いに近い感じ)します。

 

CHR70とSTBP35によるバスレフスピーカーの試作

CHR70STBP35によるバスレフスピーカーを組んでみました。

エンクロージャーはNC7ベースのものを利用しました。

Vo=10.2L, fd=47Hzとなっています。

吸音材はエプトシーラー(EE-1010)をバッフル面以外の5面に貼っています。

テストトーンによる簡易測定では、55Hzまできちんと出ています。

 

音の印象としては、上から下まで極めてフラットで、モニターとして最適という感じです。

吸音材の効果か、いわゆるメタルコーンの癖のようなものは全く感じられません。

FF105WKの方が、派手な音がします。