D級アンプにおけるオペアンプの音質への影響 その4

自励発振式のD級アンプにおける2回路オペアンプの積分回路での精度の評価をまとめておきます。

こちらの資料を参考にしています。

ppmレベルの精度のオペアンプ回路は実現できるのか?

図と表を引用します。

オペアンプの誤差源
ppm レベルの精度を得るために必要なオペアンプの仕様
ppm レベルの精度を得るために必要なオペアンプのパラメータの比較

比較したオペアンプは以下の11種です。

OPA2227

ADA4001-2

ADA4075-2

AD8672

OPA2134

LM4562

MUSES8920

LT1057

LT1213

NJM2068

LT1113

積分回路は容量を介してFBをかけるため、電源や電流に関連するパラメータ(in, Ib, PSRR, Isc)の影響が大きくなると思われます。

実際のD級アンプで試した積分器に適したオペアンプの中では、ADA4075を基準として、OPA2227, ADA4001-2, ADA4075-2, AD8672, OPA2134, LM4562あたりでしょうか。

D級アンプにおけるオペアンプの音質への影響 その2

自励発振式のD級アンプにおける2回路オペアンプ(積分回路と減算回路)のVs=+-5Vでの音質への影響をまとめておきます。

D級アンプ用オペアンプ比較表 その2

比較対象のオペアンプは以下の11種です。

OPA2227

ADA4001-2

ADA4075-2

AD8672

OPA2134

LM4562

MUSES8920

LT1057

LT1213

NJM2068

LT1113

比較表のデータシートの値(GB積、スルーレート、オープンループゲイン、CMRR, PSRR, 入力オフセット電圧および温度ドリフト、消費電流)はVs=+-15V, Vcm=0V, Ta=25degCのTypicalでまとめています。

実際の動作条件はVs=+-5Vで、回路構成としては積分回路(LPF)と減算回路(比例制御)で利用しています。

また、実際のD級アンプに実装した際の出力電圧のオフセットの実測値(L, R)から算出した絶対値の平均でソートしています。

積分精度への影響が大きい、オープンループゲインとオフセットのよいオペアンプを選択していますが、実際の回路での電圧オフセットの実測値は、必ずしもデータシートの値とは比例しないようです。

D級アンプの電圧オフセットの実測値がよいオペアンプは、OPA2227, ADA4001-2, ADA4075-2, AD8672でした。

D級アンプにおけるオペアンプの音質への影響

自励発振式のD級アンプにおける2回路オペアンプ(積分回路と減算回路)のVs=+-5Vでの音質への影響をまとめておきます。

D級アンプ用オペアンプ比較表

比較対象のオペアンプは以下の8つです。

LM4562

MUSES8920

LT1213

NJM2068

OPA2134

ADA4075-2

ADA4001-2

LT1057

比較表のデータシートの値(GB積、スルーレート、オープンループゲイン、入力オフセット電圧および温度ドリフト、電圧ノイズ密度(10Hz)、消費電流)はVs=+-15V, Vcm=0V, Ta=25degCのTypicalでまとめています。

実際の動作条件はVs=+-5Vで、回路構成としては積分回路(LPF)と減算回路(比例制御)で利用しています。

また、実際のD級アンプに実装した際の出力電圧のオフセットの実測値をL, Rおよび絶対値の平均もまとめています。

最後に、オペアンプの実売価格を参考としてあげています。

パラメータの選定に関して、D級アンプ全体の音質への影響としては低周波での積分回路におけるオープンループゲイン、入力電圧オフセット、電圧ノイズ密度が支配的と考えています。また、入力電圧オフセットの温度ドリフトおよび温度上昇に影響する消費電流も変動要素として支配的と考えています。

結論として、これら8つのオペアンプで音質的に大きな変化がある回路ではないですが、それでも実際の聴感で判別できる程度の差異はあります。

傾向と特徴をあげておきます。

  1. オープンループゲインの増大に伴い、音の躍動感が増す。(LM4562, MUSES8920, LT1213)
  2. 電圧ノイズ密度の減少に伴い、音の奥行き感が増す。(ADA4075-2)
  3. GB積の大きなオペアンプで、最終的な電圧オフセットが大きくなるものがある。(LT1213, NJM2068)

積分回路の低周波数特性 その6

T型フィルタ(2次CRハイパスフィルタ)による積分回路の積分非直線性(INL)の最適化設計の続きです。

オペアンプMUSES8920の定数を見直します。

MUSES8920 Spiceモデル

極配置の計算は、2次CRハイパス・フィルタ計算ツールを利用しています。

LTSpiceによるシミュレーションモデルとAC分析です。

2次CR積分回路モデル(MSES8920)
2次CR積分回路AC分析(MUSES8920: 緑:反転入力(LPF), 青:1次CR, 赤:出力)

まず、MUSES8920の入力インピーダンスは5.2TΩ(Typ.)、オープンループゲインは135dB(Typ.)、GB積11MHzとなっています。

ほぼOPA2134と同等のスペックなので、積分回路の定数は、C1=C2=470pF, R1=10kΩでよいようです。

実際にMUSES8920を入手して音を確認してみると、エージングに3時間ほどかかるようです。音質的にはOPA2134に比べて聴きやすく、より広帯域な感じです。どちらも甲乙つけがたい感じなので、好みで決めるしかなさそうです。