トランスの補助巻線による電源供給その2

トランスの補助巻線による電源供給について補足です。

 

100-W Universal Line Input PFCBoost Converter Using theUCC38050

では、補助巻線の出力をC7:100 uF, R10: 220 Ohm 1W, C6: 100 uFでフィルターしています。

SLUU134B-sch

2次CRローパス・フィルタ数計算ツール

を用いて、

250m Ohm, 100uF, 220 Ohm 100uFで計算してみると、

fc=214Hz, -80dB@20kHzとなることがわかります。

2nd-Order-CR

比較のために、

CRローパス・フィルタ数計算ツール

を用いて、

250m Ohm, 220uFで計算してみると、

fc=2894Hz, -20dB@30kHzとなることがわかります。

1st-Order-CR

LTspiceによるシミュレーションでも、

容易に確認できますが、

補助巻線の周波数が100kHzと高いため、

平滑コンデンサの分割(Split Reservoir Capacitor)による

フィルタ構成の効果が大きいことがわかります。

 

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トランスの補助巻線による電源供給

トランスの補助巻線による電源供給についてまとめておきます。

 

PFC Chokeを例にしています。

LT1249760805410でLTspiceでシミュレーションしてみます。

 

まず、定常状態のAC半周期(50/2=25Hz=40ms)における補助巻線の電圧です。

巻線比が39:4で出力電圧が382Vなので、

382/39*4=39Vの矩形波電圧の包絡線の底が

-14Vまで下がるような形で変化することがわかります。

 

この補助巻線電圧にR=220 Ohm, C=0.015uFを介して、

ショットキーダイオードで整流して、

Chold=200uFのホールドキャパシタと

18VのZenerダイオード(1N4746A(Iz=14mA)など)で、

Vcc電圧にしています。

Vcc電流は(Vaux-Vz)*C*f=(39-18)*0.015u*100k=31.5mAに

Rで電流制限をかけた値になるようです。

 

次に、Vcc電圧の起動時の様子です。

PFCのスイッチングが始まる

Vcc Turn-On Threshold=16.5Vまでは、

ブリッジ整流器の出力から抵抗を介して、

トリクル充電されていき、

スイッチングが始まると、

一時的に電圧が下がるため、

Vcc Turn-Off Threshold=10.5V

を下回らないように、

RとCholdを調整すればよいようです。

最終的に、Zenerダイオードで18Vにシャントされます。

 

なお、UCC38050の場合は、

Vccが内部Zenerでクランプされているため、

Input current into VCC clamp=30mA

の最大定格を超えないようにする必要があります。

 

LT1249によるPFCの基板設計

LT1249によるPFCの基板設計をまとめておきます。

LTC3722-1によるZVS-PSFB正負電源のプリレギュレータ

(商用電源(AC 100-230V)からバス電源(DC 382V))として使用します。

 

回路はLT1249のデータシートのものとほぼ同じです。

主要部品としては、

リングコアチョークにB82615B2602M001

スイッチングMOSFETにIPA60R280CFD7

整流ダイオードにSTTH8S06FP

を選択しています。

 

部品の配置はこんな感じになりました。

 

部品面のベタパターンです。

 

半田面のベタパターンです。

 

部品数が少ないので、比較的簡単ですが、

高電圧ノードとスイッチングノードに気をつける必要があります。

 

 

250W ZVS-PSFB 50V正負電源の設計

LTC3722-1 同期整流式デュアル・モード位相変調フルブリッジ・コントローラ

による250W ZVS-PSFB 50V正負電源を設計します。

その他、参考になる資料もあげておきます。

AN_201709_PL52_027: 800 W ZVS phase shift full bridge evaluation board

TND379N-D: Half-Bridge Drivers A Transformer or an All-Silicon Drive?

グリーン・エレクトロニクス No.1: 高効率・低雑音の電源回路設計

 

LT Spiceによるシミュレーション回路をあげておきます。

出力電圧の過渡応答はこのようになりました。

 

主な構成要素:

メイントランス(760895751)はLLC共振用のもので、

一次側は、PFC(LT1249)を想定した382Vの入力およびリークインダクタンスによるZVS-PSFBとしています。

二次側は、センタータップとダイオード(STPS20120D)整流およびLC平滑による正負電源としています。

また、補助巻線からダイオードブリッジとドロッパ(LT1086-12)で12Vの電源としています。

 

絶縁にはCT(CST25-0050), PT(1002C), オプトカプラドライバ(LT4430), オプトカプラ(MOC207)を用いています。

 

ZVS-PSFBコントローラ(LTC3722-1)のロジックレベルの出力を

ゲートドライバ(LTC1693-1)とPTで

左右それぞれのハーフブリッジのMOSFET(IPA60R280CFD7)を+-12Vで差動駆動しています。

 

PFCによる電源効率とリップルの改善

商用電源を入力とするトロイダルトランス、

ダイオードブリッジおよび平滑コンデンサによる電源構成は、

半坡整流後の電流が100/120Hzでパルス状に平滑コンデンサに流入するため、

力率の低さとリップルが問題になります。

 

また、電源ICのソリューションはたくさんありますが、

入力電圧や出力電流の制約で、

出力100-500Wのオーディオパワーアンプに適用するための

組み合わせは限られます。

 

そこで、ここではまず、

主電源としてPFC(Power Factor Correction, 力率補正)を利用する

+-50V, 100Vを生成するAC/DCコンバータ(LT3798, LT1249)を設計します。

 

また、補助電源として15V, +-5Vの電圧を生成する

DC/DCコンバータ(LT8304, LTC3260)もあわせて設計します

 

まず、+-50Vの正負電源は、

LT3798(アクティブPFC機能を備えたオプトカプラ不要の絶縁型フライバック・コントローラ)

をAC35VからDC50Vへの絶縁型フライバックコンバータとして、

正負独立に使用して構成します。

LT Spiceによるシミュレーション回路はこちら。

過渡解析の結果はこちら。

 

次にD級BTLアンプ(オーディオ信号変調によるバックコンバータ)用の100Vの電源は、

LT1249(Power Factor Controller)をAC35VからDC100Vへのブーストコンバータとして、

左右独立に使用して構成します。

LT Spiceによるシミュレーション回路はこちら。

過渡解析の結果はこちら。

 

次に、D級アンプのゲートドライバ用の15Vの電源は、

LT8304(150V/2Aスイッチを内蔵したオプトカプラ不要の

100V入力マイクロパワー絶縁型フライバック・コンバータ)を

100-50Vから15Vへの降圧DC/DCコンバータとして構成します。

LT Spiceによるシミュレーション回路はこちら。

過渡解析の結果はこちら。

 

最後に、D級アンプの制御回路用の+-5Vの電源は、

LTC3260(低ノイズの2電源反転型チャージ・ポンプ)

でLDOを使用する構成(15Vから+-5V)にします。

LT Spiceによるシミュレーション回路はこちら。

過渡解析の結果はこちら。