UHC MOSFETアンプのSPICEシミュレーション

FQH44N10の方がトランスコンダクタンスが大きく、

入力容量がやや小さく、

ターンオン時間とターンオフ時間の差が小さいですが、

SPICEモデルが提供されていないので、

OnSemi(Fairchild) FQH8N100CによるUHC MOSFETアンプのSPICEシミュレーションモデルを示します。

ゲイン(R9=9.31kΩ, 23dB)、フィードスルー(C2, C3=220pF) 、位相補償(R5=1.2kΩ, C5=4700pF)に設定しています。

周波数特性は91kHz、THD20=0.000759%となっています。

20kHz矩形波応答もまずまずです。

 

 

出力容量と帰還容量による貫通電流とその対策

矩形波応答の出力電圧が20V(電源レールが+-45Vなので、

45Vを中心にVdsは振れている)を越えたあたりから、

特に下側のMOSFETのターンオフ時に大きな貫通電流が現れます。

いろいろ調べていくと、どうやらGaN MOSFETの

ドレインソース間容量(Cds=C0ss-Crss, tfに関連)とゲートドレイン間容量(Cgd=Crss, td(off)に関連)が、

ドレインソース間電圧(Vds)20Vから0Vにかけて急激に増大する特性に起因しているようです。

TPH3205WSBQAとFQH44N10の容量特性を引用します。

この貫通電流はものすごいノイズやMOSFETおよびスピーカーの破壊の原因となるため、

対策が必要です。

 

しかしながら、入力段のゲインを26dBから20dBに下げて、

1.5Vの入力信号時に出力電圧が20Vにすることで対処するのが現実的なようです。

 

副次的に周波数特性が90kHzまで伸びますが、

出力は8Ω, 50Wとなります。

 

オーディオパワーアンプ用MOSFETの選択

オーディオパワーアンプにMOSFETを用いる場合、

熱安定性を考慮するとバイアスは1A前後がかけられるSOAと

PD 100W程度、Vds 100V, ZTCが6A程度のものが扱いやすいのですが、

SiC MOSFETやUHC MOSFETの中から見つけるのは大変です。

 

ここでは、Rohm SCT2450KEFarichild FQH44N10をあげておきます。

それぞれ、バイアスはSCT2450KEで800mA、FQH44N10で1.33Aで良さそうです。

 

SCT2450KEは、入力容量(Ciss)が463pFと低めですが、

トランスコンダクタンス(gfs)が1Sしかないため、

歪率はTHD20 = 0.02%程度になりそうです。

 

FQH44N10は、Ciss = 1800pFと大きめですが、

gfs = 31Sと非常に大きいため、

歪率はTHD20 = 0.008%程度になりそうです。