500W 2スイッチ・フォワードコンバータの回路設計

Single Switch PWMController with AuxiliaryBoost Converter

LT1950を用いて、500W 2スイッチ・フォワードコンバータの回路設計をしてみました。

 

主要部品として、

絶縁型ゲートドライバは、ADuM4120-1B

MOSFETスイッチは、IPA60R280P7S

トランスのコアは、PC40EER42/42/20-Z

整流用ダイオードは、STPS20200CFP

整流用CMCは、744844101

オプトカプラ・ドライバは、LT4430

オプトカプラは、HCPL-4506

でシミュレーションしています。

 

LTspiceの回路図はこちら。

 

LTspiceの過渡解析はこちら。

緑:正側出力電圧(+50V)、赤:正側CMC電流(5A)

 

5A負荷時の出力の電圧降下が3.5V程度ありますが、

オーディオパワーアンプ用のオフラインの正負電源

(500W, 入力AC100V/出力DC+-50V)なので、

実用的には十分です。

 

以下に、回路の構成のポイントをまとめておきます。

 

2スイッチ・フォワードコンバータは、

デューティ比を50%未満にする必要があるので、

LT1950のVsecピンにRefピンから抵抗分圧で、

最大デューティ比を設定しています。

 

また、LT1950はブーストコンバータを内蔵していますが、

140mA程度の電源が必要なり、

コントローラ用の電源回路が複雑になるため使用していません。

かわりに、

抵抗とZenerダイオードによる5Vおよび12Vの電源回路だけとしています。

 

さらに、L1950のGateピンから抵抗分圧で、

ADuM4120-1Bの入力として

ハイサイドとローサイドのスイッチを同相で駆動しています。

 

コンプリメンタリ素子がない場合の回路構成

これまで、LT1166によるSiC MOSFET AB級アンプや

ADP1074のローサイド・アクティブクランプ回路のハイサイド化など、

Pch MOSFETが入手できないために

Nch MOSFETだけで構成する回路設計への変更が必要な場面がいくつかありました。

 

その際のアプローチをまとめておきます。

 

まず、基本的な回路構成要素として、

位相反転、レベルシフト、絶縁の3つが基本となります。

まず、Nch 素子をPch素子に置き換えると、

駆動信号を反転させる必要があります。

位相反転回路としては、

オープンコレクタもしくは

オープンドレイン出力が簡単です。

次に、ゲートドライブがローサイドからハイサイドになる場合、

レベルシフト(LTC4446など)もしくは

絶縁型のドライバ(ADuM4120-1Bなど)が必要になります。

 

また、ハイサイドの電源として、

ブートストラップ回路も必要になります。

 

実装面積が問題にならない場合や、

受動素子で構成したい場合は、

パルストランスも利用できます。

その他フォトカプラなどもありますが、

デジタルアイソレータや、

絶縁機能を内蔵したコントローラ、

ゲートドライバを使う方が、

設計が簡単です。

 

ハイサイド・アクティブクランプ構成の基板設計

ハイサイド・アクティブクランプ構成の

300Wフォワードコンバータの基板設計をまとめておきます。

 

EAGLEの回路図です。

配線図です。

基板上面のベタパターンです。

基板下面のベタパターンです。

ローサイド構成に比べて

部品数が増えましたが、

どうにか納めることができました。

 

ハイサイド・アクティブクランプ構成の検討

耐圧の大きなPch MOSFETがない場合の、

Ncn MOSFETによるハイサイド・アクティブクランプの構成方法を

LT3752-1のデータシートから引用しておきます。

 

HI 側アクティブ・クランプ構成(LT3752-1)
入力電圧の高いアプリケーションでは、

利用可能なPチャネルMOSFETのVDS定格の不足のため、

LO側アクティブ・クランプ構成では

アクティブ・クランプ・スイッチとして使用できな
いことがあります(図13)。

この場合は、HI側アクティブ・クランプ構成(図17)

を使用したNチャネル手法を使用する必要があります。

この構成では、SWPとVINの間の

アクティブ・クランプ・コンデンサのスイッチング用に、

ゲート・ドライブ・トランスまたは

簡単なゲート・ドライブ・オプトカプラを使用して

NチャネルMOSFET(M2)を駆動する必要があります。

また、Nch用にはPch用のゲート駆動信号(図1. のAOUT)を位相反転する

必要があるようです。

 

これらを踏まえて、

ADP1074のPgate(LT3752のAOUTに相当)を

Nch MOSFET(Spiceモデルは2N7002)で位相反転して、

ADuM4120-1Bでハイサイド構成の

アクティブクランプNch MOSFET(SpiceモデルはR6020PNJ)を

ドライブする回路をシミュレーションしてみました。

LTSpiceの回路図を示します。

過渡解析の結果です。

緑がPgate, 青がNgate, 赤が反転してレベルシフトしたPgateです。

 

これで、汎用の600VのNch MOSFETから

IPA60R180P7Sなどを、

自由に1次側のスイッチングディバイスとして選択できます。