LTspiceによるTLSスピーカーエンクロージャーの設計

LTspiceで有限要素法による音響管の1次元モデルのシミュレーションを行いました。

こちらのリンクが参考になります。

§7 : 回路シミュレーションによるホーン解析とキャビネット設計への応用

まず、LTspiceによる音響管の回路モデルです。1次元モデルで100分割しています。音響管の断面積や開放端の断面積と長さはそれぞれこちらのエンクロージャの設計値から取っています。音響管の長さは仮に3.4mとしています。空気密度と音速は15℃の値としています。

分布定数回路による音響管の音響回路

こちらが閉端(赤:入力)と開放端(緑:出力)の体積流(AC解析による入力と出力の電流値)と群遅延です。

出力のグラフから34Hzを基本波として奇数次の高調波が共振していることがわかります。

閉端(赤:入力)と開放端(緑:出力)の体積流

5次高調波より高次の共振はエンクロージャー内の吸音材でできるだけ吸収する必要があります。吸音率を抵抗値としてモデルに組み込めますが、設計目標としては、最低共振周波数と音響管の長さやエンクロージャーの断面積および開放端の面積と長さ(丸穴や角穴の場合は穴の面積と板厚。MLTLの場合はダクトの断面積と長さ)の関係が把握できれば十分なので、この程度のシミュレーションで用は足ります。

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音響回路としてのスピーカーエンクロージャーの設計

音響回路としてのスピーカーエンクロージャーの設計をまとめておきます。

こちらのリンクが参考になります。

音響工学原論

第三章 音波

第四章 音場に関する諸問題

第五章 電気音響理論

まずエンクロージャー設計に重要な図表を引用しておきます。

音響管の分布定数回路定数
断面の変化する管の送端インピーダンスの等価回路
音響回路の濾波器

簡単に理解をまとめると、太さが一様な音響管は分布定数回路による4端子回路と見なせます。

また、太さが変化する部分を音響回路素子(集中定数による4端子回路)と見なす場合、細い部分は質量リアクタンス(コイル)として、太い部分は容量リアクタンス(コンデンサ)としてそれぞれ振る舞うということのようです。

その他、トランスミッションラインだけでなく、ホーンやバスレフを理解するための記述もたくさんあるので、包括的な理解が深まります。