LTspiceを用いて有限要素法による音響管の1次元モデルのシミュレーションを行い、音響管の開放端の断面積の最適値を求めます。
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音響管の開放端の断面積をスピーカーユニットの振動板半径を基準に0.5, 0.71, 1, 1.4, 2倍に変化させて、開放端(板厚と同じ長さ)からの出力の共振周波数と群遅延をシミュレーションしています。

こちらがAC解析の結果で、紫が2倍、水色が1.4倍、赤が1倍、青が0.71倍、緑が0.5倍のときの出力(体積流)と群遅延になります。

音響管の開放端の断面積に応じて共振周波数とゲインが変化することがわかります。群遅延の大きさはそれほど変わりません。
結論としては、TLSの場合、音響管の開放端の断面積は振動板面積の1倍を基準に音量と共振周波数のトレードオフ(断面積を小さくすると音量は大きくなるが、共振周波数は上がる)で調整するのが良さそうです。
実質的には、開放端からの輻射音響インピーダンスを調整していることになるようです。
音響管として動作している場合、音響管内の空気は非圧縮性流体として付加質量を伴って振動(気柱共鳴)しているため、バスレフ(ヘルムホルツ共鳴)とは違い、開放端の厚さ(バスレフのダクトの長さに相当)は、共振動作にほとんど影響しないようです。
むしろホーンの開口部のように開放端の大きさ(面積)が効いてくるようです。