スイッチング電源はオーディオに不向きなのか?

オーディパワーアンプにおけるスイッチング電源のノイズ対策をまとめておきます。

以下のリンクが参考になります。

スイッチング・レギュレータのノイズを包括的に理解する

PFC+LLC+CMCによるオーディオ用スイッチング電源

まず、3つのノイズに対する対応は以下の通りです。

  1. リップルノイズは、フィルタ(LC)で対応します。
  2. 広帯域ノイズは、回路設計(IC)やプリント基板のレイアウトで対応します。
  3. スパイクノイズは、ZVS(BCM PFC, LLC DC/DC)で対応します。

一方、ノイズを発生するスイッチング電源側の対策だけでは不十分です。

特に、スイッチング電源の基板やケーブルから伝導および放射されるコモンモードノイズ対策としては、アンプ基板の入力信号の伝送方式で対応します。

具体的にはアンプの入力部をバランス入力およびラインレシーバ(差動増幅)にすることで対応します。

また、コモンモードループの対策も重要で、アースインダクタやCMCで対応します。

2段LCフィルターによるリップルノイズ対策

D級GaN MOSFETアンプのスイッチングノイズ対策が完了すると、

今度は電源のリップルノイズが耳に付くようになってきます。

 

D級アンプは原理的にPSRRが0dBなので、

当然の帰結ではありますが、

トランスとダイオードブリッジによる整流回路では、

リップルノイズが100または120kHzとその高調波になっていて、

丁度、可聴帯域にあるため耳に付くわけです。

 

対策としては、

リザバーキャパシターをスプリットしてCRフィルターにしたり、

トランジスタでキャパシタンス・マルチプライヤを構成する方法が一般的なようですが、

ここでは2段LCフィルタによるアプローチを取ります。

 

技術的な詳しい内容は

Second-Stage LC Filter Design

を参照して下さい。

 

2段LCフィルターの定数を

L1=33mH, L2=3.3mH, C1=1,000uF, C2=10,000uF とした、

LT SPICEによるシミュレーションモデルはこちらになります。

過渡応答のシミュレーション結果はこちらになります。

フィルター通過前の電圧が赤で、通過後の電圧が緑です。

明らかにリップルが減少しています。

フィルター通過前の電圧のFFTがこちらです。

10倍の高調波(1kHz)まで容易に確認できます。

フィルター通過後の電圧のFFTがこちらです。

100Hzで-7dBの効果, 3倍の高調波(300Hz)までしか確認できません。

 

これは試作してみる価値がありそうです。