コンデンサインプット電源は理想の電源か?

コンデンサインプット電源の考察をまとめておきます。

以下のリンクが参考になります。

力率改善回路(PFC)

SiC SBDとCRCフィルタによるコンデンサインプット電源

オーディオパワーアンプ用の電源としては、商用電源(100V 50/60Hz AC)をトランスで降圧して、ダイオードブリッジで整流し、平滑コンデンサで出力電圧のリップルを平滑する正負電源が一般的です。

これまでも理想ダイオード(MOSFET)、SiC SBD、CRフィルタ、LRフィルタなどを組み合わせたものを試作してきました。

ところが、試作の結果として、スイッチング素子(ダイオードブリッジ)を変えるとスイッチングノイズ(リカバリノイズ)は下がりますが、それ以外のノイズは下がりません。

なぜなら、コンデンサインプット電源はスイッチング周波数が100/120Hzのスイッチング電源に他ならないからです。

いくら物量を投入してリップル電圧を下げたとしても、商用電源からみた力率は低下し、電流インパルスによる電流高調波の影響は避けられません。

しかもスイッチング周波数がオーディオ周波数帯域の低域にあるため、パッシブフィルタによる対策が容易ではありません。

たとえば、仮に2次CRローパス・フィルタの構成を取るとすると、0.33Ω/10000uFをカスケードして、fc=48Hzとなります。-12dB@100Hz程度になります。

これが、fsw=100kHzのスイッチング電源であれば、0.1Ω/33uFでfc=48kHz, -12dB@100kHzが容易に得られます。実際には小型のパワーインダクタが使えるので、LRフィルタで2倍の減衰率が容易に得られます。

また、PFCによる力率改善の効果は特に低域の聴感で顕著になります。

コンデンサインプット電源の場合、商用電源から低い力率と周波数で切り離されてしまい、電解コンデンサのDC電圧が後段の実質的な駆動力になります。

一方、PFCで400Vに昇圧してからLLCコンバータで降圧する形では、高い力率と周波数で商用電源のパワーが伝達されます。

つまり、タンクで供給するか、ポンプで供給するかの違いになります。

実際の設計では、スイッチング電源のトレードオフはコモンモードノイズにあるので、こちらの対策が大事になります。

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250kHz 140W LLCコンバータの基板設計その2

HiperLCSによる250kHz 140W LLCコンバータの基板設計をアップデートしたので、

まとめておきます。

 

変更点:

インダクタ:

PH0803CNL, CTX100-1-52-R

補助電源:

LT8315

ブリッジダイオード:

KMB220S

 

EAGLEの回路図です。

 

基板レイアウトです。

 

基板上面のベタパターンです。

 

基板下面のベタパターンです。

 

以降は、試作に続きます。

 

 

 

 

150W LLCコンバータの基板設計

HiperLCSによる120kHz 150W LLCコンバータの基板設計をまとめておきます。

AN-55 – HiperLCS Family Design Guide

PI Expert Suite

 

データシート、デザインガイド、設計ツールを利用して、

補助電源とグランドの分離(GNDとG)や

Yキャパシタの経路などを考慮して設計します。

 

また、レジスタ・ディバイダの抵抗比の合わせ込みや、

高電圧部の分離、共通コレクタ構成のフィードバック、

バイパスコンデンサの周波数による調整なども

考慮が必要です。

 

主要部品として、

LLCコントローラはLCS701

LLCトランスは760895451

1次側のHVスタートアップはIRS25751

デジタルアイソレータはSi8710AC-B-IS

2次側のオプトカプラドライバはLT4430

ブリッジダイオードはKMB220STR

インダクタはB78108E1151M009

を選択しています。

 

 

EAGLEの回路図です。

 

基板レイアウトです。

 

基板上面のベタパターンです。

 

基板下面のベタパターンです。

 

以降は、試作に続きます。

 

 

 

 

250kHz 140W LLCコンバータの基板設計

HiperLCSによる250kHz 140W LLCコンバータの基板設計をまとめておきます。

AN-55 – HiperLCS Family Design Guide

データシートやデザインガイドにしたがって、

補助電源の接続やグランドの分離(GNDとG)などを考慮して設計します。

 

部品点数は少ないですが、リード部品中心で構成しているため、

データシートの面実装部品中心のレイアウトが

そのまま当てはまらない部分は工夫が必要です。

 

EAGLEの回路図です。

 

基板レイアウトです。

 

基板上面のベタパターンです。

 

基板下面のベタパターンです。

 

以降は、試作に続きます。

 

 

 

 

250kHz 140W LLCコンバータの回路設計

HiperLCSによる250kHz 140W LLCコンバータの回路設計をまとめておきます。

 

HiperLCSの特徴を引用しておきます。

• コントローラ、ハイサイド/ローサイド ゲート ドライブ、高耐圧パワー MOSFET を組み込んだ LLC ハーフブリッジ コンバータ
• 外付け部品点数を最大 30 個削減可能
• 最大動作周波数 1 MHz
• 最大 500 kHz の定格定常動作
• 磁性部品のサイズを大幅に削減し、SMD セラミック出力コンデンサが使用可能
• 精密なデューティの対称性により、出力ダイオード電流が均等になり効率を改善
• 通常 300 kHz で 50% ± 0.3%
• 包括的な異常時の保護動作と電流制限動作
• プログラム可能な起動/停止スレッシュホールド及びヒステリシス
• 低電圧 (UV) 及び過電圧 (OV) 保護
• ユーザー設定可能な過電流保護 (OCP)
• 短絡保護 (SCP)
• 過熱保護 (OTP)
• 最適設計のためのユーザー設定可能なデッドタイム
• ユーザー設定可能なバースト モードにより無負荷時のレギュレーションを維持し、軽負荷時効率を改善
• ユーザー設定可能なソフトスタート時間及びソフトスタート開始ディレー タイム
• ユーザー設定可能かつ高精度な最小及び最大の周波数制御
• 高出力及び高周波用に設計された単一パッケージ
• 組立コストを削減し基板レイアウト ループ エリアを削減
• ヒートシンクへの簡単な取り付け
• ピン配列を交互にずらすことで、プリント基板の配線が簡素化し高電圧動作の沿面要件にも対応
• HiperPFS PFC 製品と併用することで、完全かつ高効率でありながら部品点数の少ない PSU ソリューションが得られる

 

設計手順としては、

AN-55 – HiperLCS Family Design Guide

デザインガイドに沿って、

PI Expert Suite

ツールで主要パラメータを決定していくだけです。

 

設計例としては、こちらのレポートが参考になります。

RDR-239 – HiperLCS を使用した 150 W LLC 高電圧 DC-DC 共振コンバータのデザイン例レポート

回路図を引用しておきます。

 

今回の設計目標は、

出力: DC +-48Vで、

入力: PFC 400V、

補助電源: 18V(PFCより)

を想定しています。

 

トランスは250kHzで駆動できるものとして、

平面トランス(Lpar: PH0802CNL)とトロイダルトランス(Lser: CTX50-1-52-R)で構成します。

PH08XXCNL Series: Planar Transformer Continues Cost-Down Initiative

LCPI Inductor

2次側は、

フルブリッジ構成にして、DC+-48Vを得ます。

ポストフィルタのインダクタ(B78108E1151M009)は、

Inductors RF chokes, BC+ series

フィードバック回路は、

LT4430

Si8710AC-B-IS

で構成します。

 

以降は、基板設計に続きます。

 

 

 

 

正負電源のラッチダウン

3端子レギュレータで正負電源を構成するときは、

ラッチダウン防止のためにSBDを保護回路として入れるように、

データシートに記述があるので認識していましたが、

同期整流で正負電源を構成するときも必要になるようです。

 

実際、フォワードコンバータによる正負電源の起動時に、

耐圧の異なる同期整流用のMOSFETが

フォワード用とフリーホイール用のいずれも、

正側だけ飛んでしまったので、

ラッチダウンと判断しています。

 

というわけで、正負電源のラッチダウンに関する資料をまとめておきます。

電源回路のトラブル事例と対策

三端子レギュレータについて

リニアレギュレータの逆電圧保護

アプリケーションノート YDSV500シリーズの原理と応用 非絶縁DC-DCコンバータ

CMCによる2段LCフィルタ正負CTトランス電源の基板設計

CMCによる2段LCフィルタ正負CTトランス電源の基板設計です。

 

整流用ダイオードは、STTH1502FP,

CMCは、74480505307448024503を選択。

 

回路図はこちら。

配線図はこちら。

上面のベタパターンはこちら。

下面のベタパターンはこちら。

部品数が少ないので、簡単に作れます。

 

CMCによる2段LCフィルタ正負CTトランス電源の回路設計

以前、Second-Stage LC Filter Designに基づいて

試作した2段LCフィルタによる正負電源の問題点

(CMCの正負電源での使い方)がわかったので、

再度、LT Spiceで設計してみました。

 

トランスのCTによるブリッジ整流回路に、

2段LCフィルターをCMCで構成しています。

正負で電流の方向を考慮して、

CMC(7448050530, 7448024503)に接続します。

1次側には突入電流対策として、

ICL(NTC)を接続しています。

2段LCフィルターの定数としては、

L1=30mH, C1=4700uF, L2=3mH, C2=20,000uFとしています。

電源投入時の正側の過渡応答です。

(出力電圧(緑)、1段目L電流(赤)、2段目L電流(青))

負荷は1k Ohmです。

出力電圧のFFTです。

第1ポール(6Hz),  第2ポール(47Hz)なので、

電源周波数50Hzのブリッジ整流に伴う、

100Hzおよびその高調波のリップルが

きれいに抑制できるようです。