電流モード自励発振式D級アンプについてまとめておきます。
こちらを参考にしています。
グリーン・エレクトロニクス No.7 D級パワー・アンプの回路設計
最初の自作!Hypex Ucdパワーアンプ
LT1713/LT1714
ヒステリシスを用いた構成例
Differential amplifier
まず、2つの方式のLTspiceでのシミュレーションをあげておきます。
電流モード自励発振式D級アンプの回路図
電流モード自励発振式の回路をオペアンプ(LT1213)と電流検出アンプ(LT1995), コンパレータ(LT1713), ゲートドライバ(Si8244)で構成しています。LPFのインダクタが積分器(電圧を時間で積分すると電流)となっています。電流検出アンプのゲインとコンパレータのヒステリシスので自励発信周波数が調整可能です。差動アンプによる比例制御と積分回路による積分制御で二重の制御ループになっています。
電流モード自励発振式D級アンプの無信号入力時のFFT
積分回路でノイズシェーピングを掛けています。自励発振周波数は1.3MHzです。
電流モード自励発振式D級アンプの1V 10kHz正弦波入力時のFFT
ゲインは23dBとなります。
UCDの回路図
UCDのLTP(差動増幅回路)によるディスクリートの回路図です。LPFのインダクタの出力電圧に位相補償を掛けて、LTPにフィードバックしています。LTPで入力とLPFインダクタ出力の三角波を差動合成して得た矩形波で直接MOSFETを駆動しています。
UCDの無信号入力時のFFT
自励発振周波数は347kHzとなっています。
UCDの1V 10kHz正弦波入力時のFFT
ゲインは19dBとなっています。
D級アンプの場合、入力信号を線形増幅していない(積分回路で時間情報に変換(サンプリング)して、PWMで出力を合成している)ので、オーディオ用途の場合、オペアンプの特性としてはDCゲインと出力オフセットが支配的になります。
また、LPFのインダクタの電流検出を利用すれば、位相遅れ自体は一次系となるため、出力電圧の周波数特性の制御は比較的容易です。
AB級アンプとは必要な要素技術が大きく異なる(増幅回路というよりもアナログ・サンプリングとPWMによる制御付き電源回路)ところに注意が必要です。