ADP1074を用いてハイサイド・アクティブクランプ・
フォワードコンバータを設計する際のポイントをまとめておきます。
AN-1454 アプリケーション・ノートも参考にしてください。
LT Spiceの回路図はこちら。

電源起動時の過渡解析の結果
(緑:正側出力(+50V), 茶:SS1, シアン:(FB), 赤:(SS2), 黄土(Comp))
はこちら。

まず、ソフト・スタート手順の
1次側と2次側のハンドシェークの条件を満たすためには、
SS1とSS2のコンデンサの容量を調整する必要があります。
シミュレーションでは起動後29-30msの期間に、
SS1の電圧が600-800mVの間にあるように調整する必要があります。
また、SS1とSS2の電流レートが2倍程度異なるので、
容量比を2倍程度にすると、一様に電圧が上昇していきます。
なお、最終的には、SS2とFBの電圧が1.2Vを超えた時点で、
強制的に2次側に制御が移るとデータシートには、
記述があります。
一方で、ハンドシェーク後にSS1の電圧は0Vになるという記述が
データシートにはありますが、
SPICEモデルでは、5Vまで上昇し続けます。
次に、FBおよびCompによるエラーアンプのループ補償ですが、
ゲインを10dB(3倍)程度に設定しないと、
適切なレギュレーションが得られません。
なので、まず、FBの上側(出力電圧)の抵抗値を決めて、
Compの抵抗値をその3倍程度に設定します。
その後、スイッチング周波数に応じて
Compの容量値をスケールするように設定します。
続いて、スロープ補償ですが、
デッドビート(k=1)で設定すると、
Compが大きく振れて電流制限にかかるため、
ノーマル(k=0.5)で設定しています。
1次側のデッドタイムは、154nsに設定しないと、
ハイサイド・アクティブクランプのための
位相反転やハイサイドドライバの伝播遅延が大きいため、
PGATEがラッチしてしまうようです。
最大デューティ・サイクル(Dmax)は、十分大きく設定しないと、
起動時や高負荷時にヒカップモードに移行してしまうようです。
なので、巻線比は0.6ですが、Dmaxは90%に設定しています。
軽負荷モード(Mode)は、3つの状態が設定できるようです。
具体的には、
LLM(常時ボディダイオードによるダイオード整流)、
スレッショルド(軽負荷時は非同期整流、重負荷時は同期整流)、
CCM(常時同期整流)の3つになります。
なお、スレッショルドはCSの状態によるので、
ランプ補償の設定抵抗の影響を受けます。
最後に、同期整流用MOSFETの耐圧ですが、
フリーホイール・ドライバ側(SR2)は2次側のトランス出力電圧とサージ電圧ですが、
フォワード・ドライバ側(SR1)は1次側の電圧とサージ電圧になるようです。
なので、150V耐圧のIPP076N15N5, IPP075N15N3
などを選択しています。