IRF530N, IRF9530Nを用いた、LT1166によるMOSFETアンプの位相補償をまとめておきます。
こちらのリンクが参考になります。
良く使われる回路での高域特性限界: 4、フォロワ型アンプ出力段 (ダーリントンの有無)

最終的な、LTSpiceによる回路図をしめします。
3段ダーリントンBJTアンプとほぼ同じですが、調整した箇所があります。
まず、電流源のエミッタ抵抗を68Ωにして、LT1166のItop/Ibottomを22mAに設定します。これで、矩形波の大信号入力時にもItop/Ibottom>4mAとなります。

次にバイアス回路(LT1166)の補償容量を100pF, 出力段(MOSFET)のゲート抵抗を100Ω、ゲートドレインゾーベルを100Ω, 220pFにそれぞれ設定します。

出力の位相余裕とゲイン余裕は次のようになります。
PM=69deg@1.9MHz, GM=-23dB@18MHz
なお、MOSFETの入力容量(Ciss)とフォワードトランスコンダクタンス(gfs)は以下の通りです。
IRF530: 920pF, 12S
IRF9530: 760pF, 3.2S
コンプリメンタリとはいってもかなり特性に違いがあります。

実際に試作してみましたが、音質としてはBJTアンプよりもやや太い感じです。
もちろん、ブートストラップ電源と出力段のバイパスコンデンサの違いによる影響もありますが。
部品数が3段ダーリントンBJTアンプよりも少ないので、こちらの方が手軽に製作できます。