T型フィルタ(2次CRハイパスフィルタ)による積分回路の積分非直線性(INL)の最適化設計の続きです。
オペアンプOPA1656をの定数を見直します。
極配置の計算は、2次CRハイパス・フィルタ計算ツールを利用しています。
LTSpiceによるシミュレーションモデルとAC分析です。



まず、OPA1656の入力インピーダンスは6TΩ(=R2)、オープンループゲインは150dBとなっています。そこで、R1の値としてR2/R1=142dBとなるように、470Ωを選択します。
またGB積は53MHzあるので、C1=C2=2200pFとすると、p1=12uHz, p2=154kHzとなり、積分線形性帯域をOPA1656の性能に見合った範囲に伸ばせます。
また、反転入力から見たLPF特性はfc=364kHz<812kHz/2となるため、自励発振周波数(オーバーサンプリング周波数)に対しても、適切な値になります。
最後にD級アンプ全体の特性をLTSpiceシミュレーションで、確認しておきます。



D級アンプ全体(ΔΣADC(812kHz))としては、オーディオ帯域(20-20kHz)のサンプリング周波数(48kHz)に対して、812/48=16倍程度のオーバーサンプリング相当となります。
また、有効ビット数としては、ENOB=(108-1.76)/6.02=17.6>16ビット相当となっています。
また、ENOB=16bitのときのSINAD(S/N)は、16*6.02+1.76=98.08dBとなるので、高能率のスピーカーで評価する必要があります。