積分回路の低周波数特性 その4

まとめとして、T型フィルタ(2次CRハイパスフィルタ)による積分回路の積分非直線性(INL)の最適化設計を検討します。

オペアンプとしてはOPA2134, OPA1656を検討します。

極配置の計算は、2次CRハイパス・フィルタ計算ツールを利用しています。

LTSpiceによるシミュレーションモデルとAC分析もあげておきます。

2次CR積分回路モデル(OPA2134)
2次CR積分回路AC分析(OPA2134)
2次CR積分回路モデル(OPA1656)
2次CR積分回路AC分析(OPA1656)

まず、積分対象範囲の周波数は20-20kHzのオーディオ帯域なので、2つの極配置としては20Hzより下と20kHzより上にそれぞれ配置することがフィルタの設計目標になります。通常2つあるCの値は同じにします。2つめの抵抗値はオペアンプの非反転入力の入力インピーダンス(FET入力オペアンプの場合10TΩ程度)になります。

C1=470pF, C2=470pF, R1=10kΩ, R2=10TΩとすると極の値はそれぞれ、p1=34uHz, p2=34kHzとなります。

この値で積分回路の出力の20-20kHzの直線性 をAC分析で確認するとほぼ120dB/3decとなります。

ポイントとしては、低域の限界はオペアンプのオープンループゲイン(DCゲイン)に依存するため、適切な抵抗値を設定して直線性のよい部分が20Hzあたりになるよう調整します。

また、高域の限界はオペアンプのGB積に依存するため、容量値を適切に設定して直線性のよい部分が20kHzあたりになるよう調整します。

OPA1656の場合GB積が大きいのとオペアンプ回路の特性のため、20kHzよりも上側は1次の傾斜になりますが、帯域外のノイズシェーピングの形状になるようなので特段影響はないようです。

最後に、OPA2134で実際のD級アンプで音を確認したところ、良好な結果が得られています。

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