積分回路の低周波数特性の改善回路として、バンドストップフィルタによる回路を実装しましたが、ノイズシェーピングとしては1次特性(20dB/Dec)になってしまい、2次特性(40dB/Dec)に比較して、20k-20Hz(3Dec)の帯域では、S/Nが60dB@20Hz程度悪化します。
そこで今度は、多重帰還型フィルタを検討してみます。
以下のリンクが参考になります。
TNJ-050:LTspiceでアクティブ・フィルタのノイズ解析(中編) サレン・キー型と多重帰還型アクティブ・フィルタを比較し、ローノイズ化を図るためにLT1128を使ってみる
まず、多重帰還型フィルタのシミュレーションです。


緑(出力)がノイズシェーピングに相当しますが、fc=48kHzまでほぼ直線的に増加した後、-40dB@4MHzまでさがり、10MHz付近に跳ね返りが生じます。
青(入力)のLPFは肩特性に段が付くのと、4-10MHzに跳ね返りが生じます。
比較のために、通常のT型フィルタのシミュレーションもあげておきます。


緑(出力)10Hz以下の特性はオープンループゲインの上限によるものです。fc=70kHzまで、2次特性で上昇し、-50dBで平坦になります。
青(入力)のLPFも跳ね返りがなく10MHz超まできれいなカーブになります。
つぎに、それぞれのフィルタ回路を実際のD級アンプに組み込んだシミュレーションを示します。


多重帰還型積分回路によるD級アンプ(ゲイン26dB)の20kHz, 1V正弦波入力による出力のノイズフロアは-60dB程度になります。


T型積分回路によるD級アンプ(ゲイン26dB)の20kHz, 1V正弦波入力による出力のノイズフロアは-80dB程度になります。
結論としては、単純なT型積分回路でオペアンプの特性に合わせた構成が最もよいようです。