D級アンプの電源を臨界モードPFC+LLCコンバータにした場合、最大のコモンモードノイズ発生源は、PFCのホットループと整流用ブリッジダイオードになります。
また、シングルエンドのD級アンプの場合、グランドへの回り込みや飛び込みに対するCMRRの向上が対策のポイントになります。
ACインレットにフィルタ内蔵のものを利用しても、アース経路自体には何もフィルター要素がないので、アンプのシャーシ内部のアース線の引き回しによるノイズの影響は避けられません。
そこで、アースインダクタ(SNG-19DB-014)によるコモンモードループの対策を実施してみました。

写真上側の黄色と緑のアース線を巻いているトロイダルコイルがアースインダクタで、写真左側にPFCのホットループ(電解コンデンサ)と整流用ブリッジダイオードがあります。写真下側のトロイダルコイルはLLCコンバータの2次フィルタです。

SNG-19DB-014のインピーダンス特性をあげておきます。設計意図としては、オーディオ帯域(20-20kHz)よりも高い周波数のアースからの回り込みをブロックしたいということです。100kHzで20dB, 1MHzで40dB, 30Mhzで60dB程度の減衰率(インピーダンス上昇)になっています。
接続としては、コモンモードフィルタのYコンのアースライン(LLCコンバータの2次フィルタとD級アンプの2次フィルタ(L, R)の3つが集まっているアースポイント)とACインレットフィルタのアースポイントの間にアースインダクタを入れています。
実際の効果はかなりあります。能率92dBのスピーカー(CP15E)をニアフィールド(1.5m)程度の距離で聴いても、無信号時の雑音が気にならなくなりました。