REWによる音場補正

Room EQ Wizardによる音場補正に関してまとめておきます。

 

バンドルされているJREがインストールできなかったので、

こちらからダウンロードして、

REWとJREを個別にインストールしました。

Java SE Runtime Environment 8 Downloads

 

設定は、Preferences-Soundcardからです。

Output DeviceとInput Deviceの設定をして、

Levelsでスピーカーのタイプを選択して、Check Levelsボタンを押していきます。

Pink Noiseが発生して、OutとInのレベルメーターが反応することを確認します。

今回、測定系はECM8000UMC202HDを使用していますが、

PCの内蔵マイクとスピーカーやオーディオソフトでも実験できます。

 

続いてキャリブレーションですが、

UMC202HDのCalibration FileはループバックケーブルでOutputとInputを接続して、

CaliblateボタンとMake Calボタンで作成できます。

 

ECM8000のCalibration Fileはこちらのサイトからダウンロードして、

Preferences-Mic/Meterで設定しました。

 

最後の準備として、SPL Meterのキャリブレーションです。

Calibrateボタンをクリックして、

Signal Sourceを選択して、

Pink Noiseを発生し、

基準となるSPL Meterの測定値を設定します。

 

必要に応じて、

Generatorと

Levelsでも、

入出力の 動作を確認できます。

 

測定結果の分析を容易にするために、

測定前に部屋の定在波の分布を

Room Simで確認しておきます。

RoomのLength, Width, Heichtで部屋の寸法を入力し、

Spekaer ControlsのSourcesでスピーカーの構成を設定して、

スピーカーとヘッドのアイコンをドラッグして、

スピーカーとリスニングポジションの配置を設定します。

 

測定はMeasureでStart Freq, End Freq, Levelなどの設定をして、

Check LevelsでLevel OKを確認して、

Start Measuringで測定が開始されます。

 

測定が完了すると、測定データ(.mdat)が表示されます。

 

次に、EQで、音場補正データ(.req)を生成します。

Modal AnalysisとWaterfallで簡単な分析ができます。

 

Target Settingsでターゲットカーブを設定し、

Set target levelのリンクをクリックします。

 

再生系には、

MEqualizer(6 Bands Parametric EQ)を利用するので、

EqualiserはGenericにして、

EQ Filtersで7-20のチェックボックスを外します。

 

Filter TasksのMatch Rangeを設定し、

Match response to targetのリンクをクリックすると、

ターゲットカーブに近づけるために

必要なEQ Parameterが計算されます。

ソートボタンをクリックすると、

Frequencyの低いものから高いものにソートされます。

ファイルアイコンをクリックして、

.reqファイルとして保存します。

 

MEqualizerの設定画面でType, Frequency, Q, Gainを設定します。

 

最後に、File-Export-Export filters impulse response as WAVメニューで、

MConvlutionEZ(Convolution Reverb)で利用する.flacファイルに変換するために

.wavファイルとしても保存しておきます。

FLACdropなどで.wavから.flacに変換して、

MConvolutionEZのCustom pathから開けるフォルダに置きます。

 

あとは、EQやリバーブによる補正前後の音を聴き比べて、

必要なら微調整をするだけです。

 

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Markaudio CHR90用エンクロージャーの設計

MarkaudioのCHR90/CHR120が発売されています。

CHR90 新発売 CHR120コイズミ無線で 試聴できます。

Markaudio CHR120 CHR90 新登場 (まずはCHR120から)

 

今後、いろいろなエンクロージャーが出てくると思いますが、

CHR90でバスレフにもトランスミッションラインにもできる大きさの、

トールボーイとして設計するとこんな感じだと思います。

板厚にもよりますが、18-20リットル程度の容量で、

NC7のエンクロージャーを縦に2つ積んだ位のサイズです。

 

それにしても、

13cmフルレンジ一発で44-28kHzまで出せるのは、

見事なドライバユニットの設計だと思います。

 

 

バスレフの最適設計その2

バスレフ・アラインメントによるエンクロージャー容量の計算ツールを見つけました。

Calculate box size using bass reflex alignments

 

どうも、CHR-70Gen3/NC7/STBP35の低音がしっくりこないので、

このツールで検討してみます。

 

使い方は簡単で、

Fs=65.4Hz, Vas=5.17liters, Port daimeter=3.5cmのように設定して、

SBB4: Qts=0.55などのラジオボタンをクリックするだけです。

 

この計算結果にしたがって、

NC7は10litters程度の容量なので吸音材を入れて、

STBP35のポート長を48mmの設定にすれば、

100Hz付近に1.7dBのピークをもつ、

f3=60Hzの特性が実現できるようです。

 

実際にポート長を調整して試聴してみると、

108mmのときに比べて、

低音の気持ち悪い感じはなくなります。

 

Qts=0.4からの乖離が大きいドライバを利用する場合は、

平坦条件(バタワース)が実現できないので、

他のアラインメントを選択する必要があります。

 

このツールでは、3つのアラインメント(QB3, SBB4, SC4)と

3つのQL(3, 7, 15)の組み合わせから、

Qtsを選択するようになっています。

 

3つのアラインメントの特徴をまとめておきます。

 

QB3:

3次準バタワース

小さな箱で低いf3(-3dBのカットオフ周波数)を生み出す、

最も一般的なバスレフ・アラインメント。

ただし、過渡特性はSBB4やSC4に劣る。

 

SBB4:

4次スーパー・ブーム・ボックス

大きな箱と長いポートで過渡特性がよい。

 

SC4:

4次サブ・チェビシェフ

SBB4と同じ箱の大きさとf3だが、ポートの共振周波数が異なる。

過渡特性がSBB4よりもやや劣る。

 

実際の設計では、

最後まで可変できるパラメータは通常、

吸音材による容量の調整とポートの長さの調整しかないので、

あらかじめ実現できる特性にあたりをつけておかないと、

調整しきれないことになります。

 

最大平坦になるLCの組み合わせその2

8 Ohm, 6 Ohm, 4 Ohmで、

fc=20kHz-1kHzの最大平坦になるLCの組み合わせをまとめておきます。

赤くした組み合わせは、

実機(PT20/PW80, S-ST05, CP15E, S-300, D-N7TX)で製作して、

試聴しています。

コイルは、フェライトコア(例:0.15mH)、

コンデンサは、電解コンデンサ(例:8.2uF)、

を使用しています。

 

8 OhmのLC組み合わせ表

6 OhmのLC組み合わせ表

4 OhmのLC組み合わせ表

基本的に、

ウーファーのロールオフ周波数に合わせて、

ツイーターのHPFのカットオフ周波数を選択しています。

0.07m Ohm, 0.05m Ohmのコイルは、

既存のコイルで巻数を減らしてLCメーターで測定し、

調整しています。

音の方はといいますと、

肩特性が平坦なので、

ツイーターがやかましくなくなります。

また、

クロスオーバー帯域が減少して、

位相の変化する領域も高域側だけなので、

低域の明瞭感が増します。

 

 

最大平坦になるLCの組み合わせ

RLC回路のQ Factorの式から、

R=8 OhmのときのL(mH)とC(uF)の組み合わせによる

Qとfc(kHz)の早見表を作りました。

Q=1/sqrt(2)=0.707に近いときの値を黄色くしています。

 

fcとRでLCの積にあたりをつけて

RLCハイパス・フィルタ計算ツール

で探索してもよいですが、

結構面倒なので、

早見表があると便利です。

 

LCネットワークの肩特性の設計

12dB/OctのHPFの設計をしていて、

肩特性(Q)の値が気になったので、まとめておきます。

 

既存の設計例として、手持ちの機材を調べてみました。

カットオフ周波数(fc)とQ(クオリティ・ファクタ)は

RLCハイパス・フィルタ計算ツールで計算しています。

Teac S-300: 6 Ohm, 3.3uF, 0.4mH: fc=4.4kHz, Q=1.8

Dayton 4K-HPF-8: 8 Ohm, 2.5uF, 0.64mH: fc=4.0kHz, Q=2.0

自作例1(Pioneer S-ST05): 8 Ohm, 1uF, 0.15mH: fc=13kHz, Q=1.5

自作例2(ONKYO D-N7TX): 4 Ohm, 2.2uF, 0.33mH: fc=5.9kHz, Q=3.1

 

普通に設計すると結構、高めのQで肩が盛り上がります。

バタワース・フィルタ(平坦特性)はQ=0.71なので、

低めのQを実現するには、Lの値を下げて、

Cの値を上げればよいようです。

例えば、

8 Ohm, 1.5uF, 0.1mH: fc=13kHz, Q=1.0

4 Ohm, 6.8uF, 0.1mH: fc=6.1kHz, Q=0.96

といった感じです。

 

現実の設計で実現可能なQの範囲は、

入手可能もしくは調整可能な素子定数に依存します。

 

また、ツイーターのインピーダンス特性を一定と見なした設計のため、

実際の聴感状の特性とは一致しないようです。

 

ONKYO D-N7TXの改造その2

D-N7TXのモノコックコーンのウーファーだけで

測定してみたところ、

高域は6kHzから落ちていました。

 

リング型ツイーターで100kHzまで出るようですが、

2.2uFの6dB/Oct 12kHz HPFで鳴っているので、

これに0.33mHのコイルを並列に入れて、

12dB/Oct 6kHz HPFにしてみました。

 

結果としては、これまた上出来で、

ハイハットのキレがよくなりました。

 

ツイーターの低域は歪みが多いので、

できるだけカットした方がよいようです。

 

Pioneer S-ST05の改造その4

S-ST05のツイーターですが、

ネオジウムマグネット内磁型で

35KHzまでをカバーしているようです。

 

しかし、もとのネットワーク

(3kHz 6dB/Oct LPF, 20kHz 6dB/Oct HPF)では、

ウーファーとツイーターのかぶりが広すぎて、

今ひとつです。

 

念のため、エッジレス構造のウーファーだけ

ネットワークをスルーで測定してみたところ、

14kHzまで高域が伸びていることがわかりました。

 

実際ウーファーだけで、

フルレンジとして充分に聴ける音です。

 

ということで、ツイーターの低域側をカットすべく、

13kHz 12dB/Oct(1uF, 0.15mH)のHPFを

ツイーターにかける構成にしました。

 

もともと付いている0.41mHのコイルの巻数を減らして、

0.15mHに調整したものと、

もともと付いていた1uFの電解コンデンサとで

構成したHPFをツイーターに、

ウーファーをスルーにするように、

配線を変更しています。

吸音材もニードル・フェルトを

キャビネット上部の空間と

下部のバスレフポートを囲む位置に、

貼ってみました。

 

結果としては、上出来だと思います。

エッジレス・スピーカーの音が

ストレートに出てくる感じです。

 

Pioneer S-ST05の改造その3

S-ST05のネットワークを4kHz, 12dBで

クロスさせるとどうにも高域がうるさいので、

ネットワークの構成を

4kHz 12dB/Oct LPFと20kHz 6dB/Oct HPF

に変更しました。

もともとツイーターに付いていた1uFの電解コンデンサを

ケーブルにつなぎこんで再利用しています。

 

結果としては、

ウーファーとツイーターのオーバーラップが少なくなって、

低域の明瞭感が増します。

 

ツイーターの能率が高いのか、

このネットワーク構成でもかなりシャキシャキ鳴ります。

 

5Lのエンクロージャーのネットワークは一筋縄ではいきませんね。

吸音材をもう少し入れたいところですが、

スペースが非常に限られます。

 

ネットワークの位置を変えて、

ツイーターの裏(ウーファーの上)に、

波形スポンジを入れてみますかね。

 

ONKYO D-N7TXの改造

ONKYO D-N7TXを入手しました。

このスピーカー、かなりいい感じです。

ただ、音量をあげるとややブーミーな感じになります。

というわけで、まずは中身を確認します。

取扱説明書では、クロスオーバー周波数は6kHzとなっていますが、

ネットワークは、2.2uFのコンデンサーによる18kHz, 6dB/Oct HPFです。

フルレンジにスーパーツイーターをのせてる感じです。

リング型ツイーターの音は、

ソフトドームに比べて、はっきり鳴る印象です。

ウーファーはモノコックで、センターキャップがありません。

4Ωのためか、かなりパワー感があります。

エンクロージャー容量も8Lあり、

スリット型のバスレフで、ポートの共振もなく、

余裕の低音です。

音量を上げるとブーミーになる原因は、

バッフル板(22mm厚)以外の板厚が9mmと薄いのと、

ウール系の吸音材を軽く接着しているだけなのが原因だと思われます。

そこで、まずは、吸音材を変えてみました。

後面と側面(1面だけ)に10mm厚のニードルフェルトを、

天面に50mm厚の波形スポンジをそれぞれ貼ってみました。

結果としては、音量をあげても、聞きやすい感じになりました。

今後、4Ω用のネットワークを入手して、

さらに手を入れてみたいと思います。