バイオミメティクスとスピーカー

バスレフダクトの風切り音などを調べていて見つけた、

気になるリンクをまとめて起きます。

 

バスレフポートの風切り音や気柱共鳴に関しては、ディンプルやフレア以外にもいろいろなアプローチがあるようです。

ボルテックスジェネレータは自動車や飛行機での適用は一般的です。

バイオミメティクス技術開発第二弾、クジラのヒレから着想を得たボルテックスジェネレーターダクトを開発

流体音制御技術 Twisted Flare Port

AFAST: Acoustic Filter Assisted System Tuning

 

振動板やエンクロージャーの形状に関しては、このあたりが興味深いです。

世界初※、自然素材からヒントを得た高音質スピーカーバイオミメティクス振動板開発に成功~OEMや自社ブランドヘッドホン製品に展開~

HR(Hyperbolic Paraboloidal Rotation)STORY

Nautilus 究極のスピーカー

 

CFD(LES, DNS)やカルマン渦など、

流体力学や計算機シミュレーションはこちらが参考になります。

エアリード楽器および音響機器における大規模音響流体解析

FNの高校物理(2)波・音・光

石のスピーカーもいろいろありますが、普通に作ろうとすると重量と厚み、加工性がネックになります。

石のスピーカー製作記

石でできたスピーカー「Stones Speakers」-まさに”ロック!”

大谷石スピーカー

 

広告

WP-FL10とEX10Wによる密閉型点音源スピーカーの試作

WP-FL10EX10Wで、密閉型の点音源スピーカーを作ってみました。

吸音材はエプトシーラーを5面に貼っています。

 

ネットグリルは、そのまま取り付けると

フェイズプラグやロールエッジに干渉しそうなので、

面ファスナーでフェルトをサンドイッチにしたスペーサーを作りました。

 

次に、spedで密閉箱に入れたときの特性を見ます。

WP-FL10のTSパラメータの詳細は、

Aucharm e-107の値で代用しています。

foc=170Hzとなることがわかります。

 

次に、低域の補正ですが、

Linkwitz Transformを参考にします。

元の特性が青で、

f(0)=170Hz, Q(0)=1.0,

ターゲットの特性がオレンジで、

f(p)=55Hz, Q(p)=0.7としています。

緑が必要なイコライジングカーブです。

 

最後に、イコライジングですが、

MEqualizerでFrequency=85Hz, Q=1.00, Gain=+20dB, Output=-10dBとしています。

Pink Noiseを再生して、イコライジングを見やすくしてみました。

最終的には、音楽を再生しながら、

Qを微調整するとよいようです。

かなり低域の響き方が変わります。

 

肝心の音の方はといいますと、

見た目とのギャップに驚きますが、

理論通りの音がします。

 

エンクロージャーが小さいため(点音源)、

余計な音が出ないのと、

低域はスピーカーユニットからの直接音になるため(密閉型)、

非常に聴きやすいです。

 

ニアフィールドのモニタとしては、

ばっちりだと思います。

 

FF105WKとWK10mFNおよびP43-123によるバスレフスピーカーの試作

FF105WKでバスレフ(fd=67Hz)を構成してみました。

テストトーンによる測定では、55Hzまで出ています。

10cmのフルレンジとしては、十分なレベルだと思われます。

データシートの周波数特性はこんな感じです。

7.5kHzにリッジコーンによるとおもわれるピークがありますが、

30度の特性では収まっているので、

実用上は問題ありません。

しかしながら、ユニットを傾けて取り付けたり、

エンクロージャーを横置きする場合は、

注意が必要と思われます。

実際に、7.5kHzの帯域をイコライザで、

調整してみると、シンバルや

ギターのタッチノイズの音域であることがわかります。

 

音の印象としては、

上から下まで緻密な音で、低音は空気の揺らぎまで感じます。

これは、BL積=4.823 Tesla/mに寄与している強力なマグネットと

2層コーンおよびアップロール・エッジによるものと思われます。

実際、ユニットの取り付けの際には、

スチールのフレームにスクリュードライバが引きつけられます。

 

吸音材としてニードルフェルトをバッフル面の内側を除いた5面に貼っていますが、

バスレフにもかかわらず、制動の効いたこぎみよい低音が出ます。

バスレフ専用設計をうたうユニットだけのことはあります。

 

また、リッジドームのおかげで、

シンバルやブラシなどの金物の音も不満なく聴けます。

 

ボーカルはペーパーコーンなので、これまたよい感じです。

 

ロングセラーを続けるユニットだけに、

リファレンスとして持っておくとよいと思います。

 

WP-FL10とWK10mFNおよびP43-123によるバスレフスピーカーの試作

WP-FL10は、かなりドンシャリの10cmフルレンジです。

しかも、用意したバスレフのエンクロージャー(WK10mFN)とダクト(P43-123)は、

もともとCHN70用なので、WP-FL10にはマッチしません。

本来なら、ダクトを(P35-120)などに変更するべきなのですが、

木工作業が面倒なので、他の手を考えました。

 

フィルタープラグイン(MBandPass)で、

HPF = 72Hz, -12dB/Oct, LPF = 15kHz, -6dB/Oct

を設定して、

WP-FL10の周波数特性をCHN70に近づけます。

 

狙い通り、とても上品な音になります。

 

この後、必要に応じて、

ネットワークなりダクトで調整するのが、

手っ取り早そうです。

 

密閉だと低域のイコライジングは当然なんですが、

バスレフもダクトの共振周波数に応じて、

低域のカーブを調整すると、

自然なバスレフの音になります。

 

アルミのセンターキャップの耳障りな

帯域も調整した方が、

聴きやすい音になります。

 

CHN-70とTBW-1000によるTLスピーカーの測定

トランスミッションラインで低域がどこまで出ているのか、

簡単な測定をしてみました。

 

利用したマイク、スペクトラムアナライザ、テストトーンをあげておきます。

iMM-6 iDevice Calibrated Measurement Microphone

AudioTool

60Hz Test Tone

55Hz Test Tone

50Hz Test Tone

 

まず、最終的に、TBW-1000の開口部の底面に

50mm厚の波形ウレタンフォームを入れました。

これで、およそ45x110x1,700mmの波導管になります。

閉管としての共振周波数は約50Hzとなります。

 

一方で、CHN-70の最低共振周波数は、

F0=71.62Hz となっています。

 

測定としては、単純で、

テストトーンを再生して、

スペクトラムアナライザで

レスポンスを見るというものです。

 

結果として、55Hzまで、

ほぼフラットに再生できることがわかりました。

 

ウッドベースの音程がよくわかります。

 

また、バスレフやバックロードホーンと違って、

空気のバネ要素(空気室)の影響が少なく、

開口部での遅れ要素が共鳴管長と音速によるもの(5ms程度)なので、

ニアフィールドで聴くと、

音像が少し後ろに位置する感じになります。

 

 

CHN-70とTBW-1000によるTLスピーカーの試作

CHN-70TBW-1000によるTLスピーカーの試作をまとめておきます。

 

設計としては、

導管の断面積はSd=50cm^2の、

長さが180cmの気柱管(共振周波数=50Hz)

を狙います。

つまり、ドライバユニットの後ろの9Lの空気を

コントロールすることになります。

 

つぎに、気柱管に生じる、

3次(150Hz),  5次(250Hz)の高調波を吸収して、

バンドパスフィルタを実現する必要があります。

TBW-1000の導管は幅が116mmで、

高さが、45mm, 55mm, 65mmと折り返しごとに、

徐々に広くなっているので、

これを打ち消す程度の厚みの吸音材を貼り付けます。

Sato エプトシーラー EE-1010

Sato カームフレックス F2-PRF13

Sato カームフレックス F2-PRF20

 

また、閉塞端と側面にも定在波を打ち消すために吸音材を貼り付けます。

 

最後の開放端の部分は高さが100mmあるので、

いろいろな調整ができますが、

穴あきのダクト用の消音材

50mm厚の波形ウレタンフォームなどを利用します。

 

こちらが、制作中の吸音材の様子です。

 

ドライバユニットを取り付けた後はこちらです。

 

音の方はといいますと、

バスレフ(WK10mFN, P43-123, NF5093)でCHN70を鳴らしたときと比較して、

ベースラインの明瞭感が素晴らしいです。

 

原理的にはヘルムホルツ共鳴閉管共鳴の違いとなります。

 

CHN-70の周波数特性曲線からすると、

聴感としては、

60Hzまではフラットに出ていると思われます。