D級アンプのスイッチングノードは通常Nch MOSFETによるハーフブリッジ構成を取るため、
ローサイド(負の電源レール基準)とハイサイド(正の電源レール基準)の
MOSFETのゲート電圧の基準が異なるので、
それぞれに電源が必要になります。
通常、ハイサイドはブートストラップ回路(RCDによるフローティング電源)
を利用します。
動作としては、ローサイドがオンになっているときに、
ローサイド用の電源からコンデンサを充電して、
ハイサイドがオンになっているときは、
ダイオードでハイサイドからの逆流を防いでコンデンサから放電して、
ハイサイドのゲート駆動電流を供給する形になります。
この充電時と放電時に
ブートストラップ抵抗とゲート抵抗も関連するため、
注意が必要です。
また、オーディオ用途で、正負電源の構成にする場合、
ハイサイドの起動時の電圧がローサイドよりも高いため、
自励式では、ローサイドからオンするかどうか不明なので、
正側の電源レールから、抵抗とツェナーダイオードなどで、
ブートストラップ・コンデンサに初期電圧を与える必要があります。
オーディオ用途の場合、
ブートストラップダイオードの定格は、
耐圧(電源レール間の電圧およびハードスイッチングに伴うサージ電圧)と
スイッチング時間(デッドタイムに近い値)、
充電電流(抵抗と容量、スイッチング時間に依存)に注意が必要です。