LT1249によるPFCの基板設計

LT1249によるPFCの基板設計をまとめておきます。

LTC3722-1によるZVS-PSFB正負電源のプリレギュレータ

(商用電源(AC 100-230V)からバス電源(DC 382V))として使用します。

 

回路はLT1249のデータシートのものとほぼ同じです。

主要部品としては、

リングコアチョークにB82615B2602M001

スイッチングMOSFETにIPA60R280CFD7

整流ダイオードにSTTH8S06FP

を選択しています。

 

部品の配置はこんな感じになりました。

 

部品面のベタパターンです。

 

半田面のベタパターンです。

 

部品数が少ないので、比較的簡単ですが、

高電圧ノードとスイッチングノードに気をつける必要があります。

 

 

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250W ZVS-PSFB 50V正負電源のループ補償

250W ZVS-PSFB 50V正負電源のループ補償の設計手順をまとめておきます。

資料としては、以下のデータシートやアプリケーションノートが参考になります。

Application Note 149 Modeling and Loop Compensation Design of Switching Mode Power Supplies

LT8311 Synchronous RectifierController with Opto-Coupler Driver for Forward Converters

LTC3722-1/LTC3722-2 同期整流式デュアル・モード位相変調フルブリッジ・コントローラ

LT4430 2次側オプトカプラ・ドライバ

HCPL-4506/J456/0466, HCNW4506 Intelligent Power Module and Gate Drive Interface Optocouplers

HCPL-4506 Digital/Analog Optocoupler SPICE Model

5KV LED EMULATOR INPUT, OPEN COLLECTOROUTPUT ISOLATORS

Digital Isolator Evolution Drives Optocoupler Replacement

AN681 USING THE Si87XX FAMILY OF DIGITAL ISOLATORS

AN729 REPLACING TRADITIONAL OPTOCOUPLERSWITH Si87XXDIGITAL ISOLATORS

 

まず、帰還ループのトポロジーです。

LT4430のデータシートの図6aを参照します。

この図のPRIMARY-SIDE ERROR AMPはLTC3722-1のエラーアンプに、

オプトカプラはHCPL-4506もしくはSi8710Aに対応します。

LT4430のデータシートの図5から

R1, R2は出力電圧から簡単に決まります。

ここでは、Vout=100V, R1=200k, R2=1.2kとします。

 

次にRc, Rdは、LT8311 Figure 16, 17を参考に決定します。

 

LTC3722-1ブロック図とエラーアンプの特性値です。

LT4430のブロック図とエラーアンプおよびオプトドライバの特性値です。

AN681よりSi8710のブロック図と電流制限抵抗(Rf)の計算式です。

AN729よりSi8710A/Bの伝達特性とグレード別の最適電流(If)です。

 

LT8311のOpto-Coupler Design Guidanceに従うと、

Step 1:

LTC3722-1のエラーアンプはユニティゲイン構成なので、R1=R2とみなします。

Step 2:

LTC3722-1のエラーアンプはVref=1.2V, Vc_low=Vol=0.18Vとなります。

Vx_max=1.2*2-0.18*1=2.04V

Step 3:

AN729よりSi8710Aの場合、Iopto_out_high=3.0mAとします。

またRc=Reとみなして、

Rc=Re=2.04V/3.0mA=680 Ohm

Step 4:

Si8710Aの場合CTR_min=1とします。

If_high=3.0mA/1=3.0mA

Step 5:

Vopto(max)=Opto Driver Output Swing High=Vin -1.05=5.1-1.05=4.05V

Si8710Aの場合Rd=Rf, Vopto(max)=Vf, If_high=Ifなので、

Rd=Rf=(4.05V-2.0V)/3.0mA=680 Ohm

 

次に、Type IIループ補償の設計パラメータとして、

Cc, Ck, C1を除いて単純化し、

R3, C2, C3を決定します。

 

AN149の

Modeling New Power Stage with Closed Current Loop

Loop Compensation Design of a Current Mode Converter

Design Type II Compensation Network of Voltage-Loop ITH Error Amplifier

にしたがいます。

C2=Cthp, C3=Cth, R3=Rth,

fs=160kHz, fc=fs/6=26.7kHz,

LT4430のブロック図から入力抵抗2k Ohm,

Opto Driver –3dB Bandwidth=600kHz

なので、

エラーアンプのゲインカーブから、

gm=10(20dB@600kHz)として、

C2=Cthp=220pF, C3=Cth=1uF,

R3=Rth=10*2k=20k Ohm, Ro=1Meg Ohmとすると

fp0=1/(2*3.14*1uF*1Meg Ohm)=0.159Hz

fz1=1/(2*3.14*20k Ohm*1uF)=7.96Hz

fp2=1/(2*3.14*20k Ohm*220pF)=36.2kHz

 

最後に過渡応答をLT Spiceで確認してみます。

LT4430とHCPL-4506でループ補償を行っています。

1k Ohmの負荷抵抗での起動時の過渡応答です。

緑が出力電圧(Vout),

青が出力インダクタ電流(Il),

赤がLTC3722-1のエラーアンプ出力(Vcomp)です。

まず、電源起動後に急速にデューティー比が大きくなって、

突入電流が立ち上がります。

続いて、インダクタ電流がCCMで減衰していきます。

最後に、出力電圧が+50V(目標正レール電圧)に到達すると、

スムーズにインダクタ電流がDCMに移行しています。

出力電圧が定常状態になって、

出力電流が急速に減少する際にも、

エラーアンプ出力もアンダーシュートがないことが確認できました。