Wolfspeed(CREE)のC3M0120090Dで、
LT1166によるブートストラップアンプを再設計しました。
LT1166はゲート電圧を0/+-12Vまでしか駆動できないため、
従来のゲート電圧の高いSiC MOSFETの駆動には工夫が必要ですが、
C3M0120090Dはゲート電圧を0/+15Vで駆動できるので問題なく動作します。
ところが、CREEの提供するSPICEモデルが温度パラメータを盛り込んでいて、
非線形の振る舞いをするため、オーディオアンプのシミュレーションには適しません。
そのため、データシートをもとにVDMOSモデルを作成しました。
.MODEL C3M0120090D VDMOS (NCHAN
+VTO=3.5 KP=2.0 subthres=8e-1 mtriode=1 LAMBDA=0
+CGDMAX=100e-12 CGDMIN=4e-12 a=0.5
+CGS=347p CJO=0.2875n M=1.0 VJ=4.8
LT1166のデータシートに基づく、
ブートストラップアンプの回路は次のようになります。

エミッタディジェネレーションBJTドライバで
出力SiC MOSFETを駆動する準コンプリメンタリ構成です。
発振防止対策として、
BJTに対してベースストッパ(100Ω)とスピードアップコンデンサ(470pF)を
SiC MOSFETに対してゲートストッパ(100Ω)を適用しています。
+-1.5V, 10kHzの矩形波入力時のSPICE過渡解析とFFTの結果を示します。

ゲインは27dB(Av=-22.4)、
ノイズフロアは-120dBで、
偶数次高調波は-60dBとなっています。

周波数解析の結果を示します。
帯域はDC-64kHz(-3dB)、
ゲイン交差周波数は900kHzで位相余裕は70degあります。

なお、サスペンデッド電源としては、
絶縁型DC-DCコンバータ(DPBW03G-15)を用いて、
実装を単純化します。