D級GaN MOSFETアンプのスイッチングノイズ対策

GaN MOSFETアンプのスイッチングノイズ対策をまとめておきます。

 

TPH3206PSBのデータシートに関連文書として

AN0009: Recommended External Circuitry for GaN FETs

があげられていて、リンギングの抑制とdi/dtの制限による

ノイズ対策のポイントがまとまっています。

 

また、D級アンプとしてのゲート抵抗やスナバ回路の定数はこちらが参考になります。

25W-500W Scalable Output Power
Class D Audio Power Amplifier Reference Design
Using the IRS2092 Protected Digital Audio Driver
まず、対策前のスイッチングノードのLT Spiceシミュレーションによる過渡解析はこちらで、
オーバーシュート/アンダーシュートが20V程度になっています。
 
対策後がこちらで、オーバーシュート/アンダーシュートが2V程度になっています。
対策の効果は、無入力時の出力ノイズレベルの減少として、
オフセット電圧や耳でも確認できます。
通常のスイッチング電源(バックコンバータ)の設計であれば、
変換効率を優先して、
スイッチングノイズはEMIの規制をクリアすればよいのですが、
D級オーディオアンプとなると、
スイッチングノイズの低減を優先せざるを得ません。

Si8244によるD級GaN MOSFETアンプの試作

Si8244TPH3206PSBによるD級GaN MOSFETアンプを試作しました。

電源はSCS206AGによるSiC SBDブリッジを上下独立で使用しています。

Si8244は絶縁型ドライバなので、レベルシフト回路が不要になり、

メインの回路は非常にコンパクトにできました。

保護回路はOCPとDCPを実装しました。

 

アイドル時の積分回路LT1363の出力振幅を+-1V程度に調整して、

最大入力時の出力振幅をコンパレータLT1016の入力同相電圧範囲に収めています。

 

Si8244のデッドタイムを75ns程度に調整した結果、

自励発振周波数はシミュレーションでは1.9MHzとなっています。

 

デッドタイムが短いとアイドル時のスイッチングノイズが大きくなり、

貫通電流が発生します。

 

音自体は、高音の密度感と低音の充実感が素晴らしく、

申し分ありません。

 

課題を上げるとしたら、

アイドル時のスイッチングノイズの低減(スナバ回路、ソース端子へのアモビーズ、電源レールへのフェライトビーズ)と、

電源オン・オフ時のノイズの抑制(Si8244のUVLOの変更、UVPの実装)といったところですが、

自作アンプとしては対策なしでも許容範囲です。