SiC MOSFETアンプのドライバ段のエミッタディジェネレーションを調整して、
電源レールを効率よく利用できるようにします。
回路図はこちらです。
上下のドライバ段のBJT(2SC4883A, 2SA1859A)のコレクタ抵抗とエミッタ抵抗を10Ω/100Ωに設定しています。
従来は、これらの抵抗を歪率と対称性を重視して100Ω/100Ωに設定していました。
しかし、対称な設定では、出力段のMOSFET(SCT2450KE)の駆動に利用していない側の
コレクタとエミッタの電圧振幅も電源レールを占有ししまうため、
出力電圧の振幅が制限されていました。
LTspiceによる過渡応答(1.3V, 20kHz正弦波入力)はこちらです。
エミッタディジェネレーションを10Ω/100Ωにすることで
青のコレクタ電圧、赤のエミッタ電圧の振幅を小さくした結果
ゲイン20倍で、+-27Vまで出力振幅が取れています。
この非対称なバイアス設定によるB級動作での大振幅時のTHD-20の増加はわずかで、
小入力時のA級動作での影響は相対的に無視できるレベルです。
LT1166はバイアス電流積を一定になるよう制御するため、
プッシュ動作時とプル動作時でバイアスが変動します。
このため、BJTコンプリメンタリドライバによるMOSFET準コンプリメンタリ出力が
容易に実現できます。
試作機でも、問題なく動作しています。