LT1160によるD級アンプ

TPH3206PSBを駆動しようとしてもIRS2092では自励発振しないようで、

他のソリューションを探してみたところ、

LT1160を見つけました。

貫通電流が発生しないように上下のゲートを制御するので、

MOSFETを選ばないハーフブリッジドライバのようです。

積分器にはLT1363、コンパレータにはLT1016を使用して、

LT SPICEでシミュレーションしてみました。

回路図です。

自励発振周波数は700kHz程度まで上げられるようです。

UVoutのオープンコレクタは、

SPICEモデルでは動作しないようです。

1kHz正弦波入力時の応答です。

青:LPF前の出力、緑:LPF後の出力、赤:上側ドレイン電流、水色:下側ソース電流

やや下側のプロパゲーションディレイが大きいようですが、

自励発振周波数を高くできるので、

カバーできるようです。

 

D級GaN MOSFETアンプの設計パラメータの考察

SPICEシミュレーションでTPH3206PSBによるD級GaN MOSFETアンプの

自励発振に関するパラメータを詰めました。

IRS2092のパラメータに寄せています。

最終的なSPICEモデルの回路図はこちら。

1V, 1KHz正弦波入力時の過渡応答はこちら。

緑:出力電圧、青:スイッチング電圧、水色:Lスイッチング電流、赤:Hスイッチング電流

まず、シュミットトリガのパラメータですが、

ヒステリシス(Vh)は、IRAUDAMP7DによるとIRS2092のコンパレータのヒステリシスは0なので合わせます。

ヒステリシスがあるとLPFで除去できない搬送波による出力電圧のリプルが大きくなります。

 

プロパゲーションディレイ(Td)は、IRS2092のゲートドライバで335/360ns,汎用 コンパレータLT1011で150nsなので、

500nsとします。

また、入力パルス幅の最小値が10nsなので、TripDtはこの値としています。

 

この値で、自励発振周波数が420kHz程度になるので、恐らく妥当な値だと思われます。

 

電源電圧は+-45Vとしていますが、

最大入力時にクリップしないように、フィードバック抵抗は100kΩにしています。

 

また、積分器のコンデンサ容量は1nF, 1nF、抵抗値は300Ωとしています。

抵抗値を変えても自励発振周波数はほとんど変化しないため、

ビートを回避するために左右のチャンネルで周波数を20kHz以上離したい場合は、

コンデンサ容量を1.2nF, 1.2nF等に変更するほうが良さそうです。

 

一番悩ましいのは、ゲート抵抗の値です。

自励発振周波数にも影響しますが、

スイッチング電流の大きさおよびパルス幅とスイッチング電圧のリンギングの大きさの

トレードオフになります。

 

結局22Ωのままとして、スイッチング電流が最大で25A、パルス幅25ns,

スイッチング電圧のリンギングのピークが5-10Vとなっています。

 

これらのシミュレーション結果を踏まえると、

DT(デッドタイム)は40nsでスイッチング電流のパルス幅をカバーして貫通電流を回避できます。

また、OCP(過電流保護)は30Aで良さそうです。

 

結論として、TPH3206PSBでもIRAUDAMP7Dのパラメータでほぼいけると思われます。

 

D級GaN MOSFETアンプのSPICEシミュレーション

IRS20594のSPICEモデルがdiyAudioにあったので、

TPH3206PSBでの自励発振の挙動をシミュレーションしてみました。

シミュレーションモデルでは、シュミットトリガでIRS20594に入力しています。

OCPはH/Lともにディスエイブルにしています。

また、スナバの代わりにアモビーズをH/Lのソースに入れています。

こちらは1KHzの正弦波の入力に対する過渡解析の様子です。

緑が出力電圧で、青がフィードバック、水色と赤が出力電流です。

 

自励発振の周波数は、ゲート抵抗の値に依存するようで、

180Ω以上にしないとIRS20594やIRS2092の動作周波数の上限、800kHz以下になりません。

また、あまり大きなゲート抵抗にすると貫通電流が発生するようです。

 

あと、スナバよりもアモビーズの方がボディダイオードの逆回復電流の抑制には効果が大きいようです。

 

 

D級GaN MOSFETアンプの基板設計

IRAUDAMP7D 25W-500W Scalable Output Power
Class D Audio Power Amplifier Reference Design
Using the IRS2092 Protected Digital Audio Driver,

AN-1138 IRS2092(S) Functional Description,

AN-0003 Printed Circuit Board Layout and Probing for GaN Power Switches

を参考にして、

IRS2092とTPH3206PSBによる

D級GaN MOSFETアンプの基板を設計しました。

IRS2092は

Board Layout Considerationsとして

以下の3つのグランドプレーンが必要なので、

ポリゴンの配置がやや複雑になります。

1. Analog Ground

2. Gate Driver Reference

3. Power Ground

 

また、TPH3206PSBは

2 LAYOUT CONSIDERATION IN A PFC BOARDとして

2.1 Power loop
2.2 Gate Loop/Gate Drive Circuit

によると、

ソースピンに対してゲートループとパワーループを分離する必要があるようです。

 

その他、バイパスコンデンサ、スナバ、ゾーベル、

LPFの配置にも注意を払う必要があります。