LT1166のデータシートにフォルドバック電流制限を追加する記述があるのですが、
設定値を決定する方法が出ていないため、SPICEシミュレーションで求めました。
図5に示すとおり、
電源からILIMピンに2本の抵抗(標準30k)を接続すれば、
通常または“矩形”電流制限に
フォルドバック電流制限を追加することができます。
矩形電流制限では、
最大出力電流はパワー・デバイス両端の電圧とは無関係です。
フォルドバック制限では、
単に出力電流が出力電圧に関係付けられます。
この方式では出力デバイスに消費電力の制限が課されます。
パワー・デバイスの電圧が大きくなるほど、
得られる出力電流が減少します。
これを図6に(図5の回路の)出力電圧対出力電流として示します。
GaN MOSFETアンプのSPICEシミュレーションモデルと
電圧制限(20V)、電流制限(6A)が
それぞれ作動したときの過渡応答を以下に示します。
+-45Vの電源と電流制限ピンとの間の抵抗は68kΩ、
電流検出抵抗は0.235Ω(タップダウンした15mΩのバイアス電流検出抵抗を含む)をトップとボトムそれぞれに設定して、
入力を1.5V, 20kHzの正弦波、出力負荷を4Ω(30V, 6Aの出力)とした場合と
入力を1.0V, 20kHzの正弦波、出力負荷を2Ω(20V, 12Aの出力)とした場合を
それぞれシミュレートしています。
電流制限の発振防止用RCが1kΩと1uFなので、
時定数1k x 1u = 1msとなるため、
フォルトイベントの検出に1msほどかかるようです。
電流制限の動作としてはアンラッチとなっています。