アンプの電源は、トランスと整流回路および平滑コンデンサによる
シリーズ電源が通常用いられます。
スイッチング電源も利用できますが、スイッチングノイズの対策が困難なので、
音質を重視する場合は、あまり採用されていません。
バッテリーを用いる方式もありますが、
充電回路が必要なことやバッテリー交換の手間がかかります。
トランスは、トロイダルとEIどちらも用いられますが、
自作アンプはトロイダルやRコアが多いようです。
整流回路はダイオードブリッジ回路が一般的で、
ファストリカバリ・ダイオード、SBDなどがよく用いられます。
SiC SBDは、逆回復時間が短くノイズが少ないため、
オーディオ用途には魅力的ですが、
平滑コンデンサの突入電流を考慮して選択する必要があります。
現在の試作を進めているプロジェクトでは、
理想ダイオードブリッジコントローラによる
MOSFETのブリッジ整流を採用しています。
電源用のMSFETはオン抵抗が数mΩのものが選択できるので、
発熱と電圧降下の点で、ダイオードブリッジよりも有利です。
一番、重要なのは平滑コンデンサの選択ですが、
許容リップル電流が大きい電解コンデンサで、
出来るだけインピーダンスが低くなるような回路設計をします。
また、大きな突入電流に耐えられる電源用のスイッチも必要です。
シミュレーションをするとわかりますが、
26Aから5A位のスパイクのような充電電流が100/120Hzで、
コンデンサに流れ込むため、
コンデンサが常に振動していることになります。
また、ダイオードやMOSFETのスイッチングノイズも、
パスコンなどで吸収する方がよいでしょう。
出力にレギュレータや小さな抵抗を入れる場合もあるようですが、
電圧降下やローインピーダンスとのトレードオフになります。