アンプにもいろいろな種類がありますが、
一番わかりやすい分類は増幅素子の種類によるものでしょう。
アンプの増幅素子としては、
真空管と半導体(トランジスタ)が一般的です。
真空管アンプは自作するとなると、
高電圧を扱うため部品が大きく高価になるのと、
真空管はガラスなので壊れやすいので難易度が高いです。
一方で、トランジスタも大きくBJTとMOSFETのアンプに分かれます。
BJTによるアンプは多様な回路例があり、
最も一般的な増幅素子でしょう。
一方で、MOSFETによるアンプは、
どちらかというと少数派の増幅素子です。
アンプの回路は主に3つの段階
(入力段(IPS)、増幅段(VAS)、出力段(OPS))で構成されますが、
出力段にどの種類の増幅素子を用いるかで、
特性が大きく変わります。
増幅素子それぞれの善し悪しがあるので、
その選択基準には何を重視するか、
つまり設計思想が必要です。
現在、試作を進めているプロジェクトで、
MOSFETを選択している理由はいくつかありますが、
少ない素子で簡単に大きな電力を制御したいというのが
最大の理由です。
オン抵抗が小さく、大電流が制御でき、
発熱も小さく、熱暴走しないのが、MOSFETの利点です。
一方で、不利な点は、
オン抵抗は入力容量とのトレードオフになっているので、
発振しないように周波数応答を制限する必要がある点です。
また、BJTよりも大きな制御電圧(ゲート電圧)が必要なので、
より高い電源電圧が必要になります。
さらには、通常はコンプリメンタリ(Pch)のあるMOSFETが少ないので、
回路構成が限定されます。
しかし、Nchだけでよい回路構成を選択すれば、
MOSFETの選択肢は格段に多くなります。
しかも、MOSFETは現在もマーケットの拡大に伴って、
デバイスの性能向上が続いているので、
そのメリットを享受できます。