SiC SBD正負電源の回路設計

比較のためにSiC SBDによる正負電源のシミュレーションも載せておきます。

LTspiceで回路図を起こします。

SCS106AGはすでにディスコンなので、

SCS206AGのSPICEモデルをロームのサイトから持ってきています。

psusiscsbdasc

余計な部分はいろいろな実験の後なので無視して下さい。

次に過渡分析の結果を示します。

psusicsbdraw

SCS206AGのSPICEモデルがよくないのか、

100msまでしかシミュレーションできません。

 

SCS206AGは、スイッチング時間が12 ns、

容量性電荷が9 nCとなっていて、

SCS106AGよりも性能が向上しています。

 

 

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理想ダイオード正負電源の基板設計

例によってEAGLEに回路図を入力します。

IdealDiodePSUsch

テスト時の安全のため、コンデンサが放電したことがわかるように、ブリーダー抵抗とLEDを追加してあります。

外付けで2回路のトランスをつなぐ形にしています。

次にPCBのアートワークです。

IdealDiodePSUbrd

V+, GND, V-をベタパターンにして、電源のインピーダンスを下げています。

ヒートシンクは念のためです。

 

理想ダイオード正負電源の回路設計

理想ダイオード・ブリッジ・コントローラでLT4320というのがあります。

これを2個使ってSiC MOS FETアンプの+-50Vの電源を作ろうと思います。

スイッチング用のMOS FETはFDP027N08Bが良さそうです。

まずは、LTspiceで回路図を作成。

IdealDiodeBridgeAsc

過渡分析の結果はこんな感じです。

IdealDiodeBridgeTrans

オン抵抗が2.7 mΩで発熱がSiC SBDよりも一桁小さいので、ヒートシンクも要らない感じです。

また、順方向電流の定格が223Aもあるので、突入電流(平滑用コンデンサ60,000 uFで21A程度ある)が問題にならないのがすばらしいです。

 

SiC MOSFETアンプの基板設計

回路が設計できたので、次は基板設計です。Eagleでまず回路図を作成します。

Bootstrap3sch

サスペンディッド電源(Bootstrapping)も同一基板に乗せてしまいます。電源のコモンをGNDでなく、出力でフロートすることで、オペアンプの電源レールを出力に沿って移動させ、オペアンプの出力を+-15Vを越えてスイングさせています。

回路図が出来たら、次はプリント基板(PCB)の設計(アートワーク)です。

Bootstrap3brd

両面ベタグランドですが、電源電圧が異なる領域をスリットで分けています。また、トランスとインダクタの部分はベタを抜いています。

 

SiC MOSFETアンプの回路設計

SiC MOSFETアンプを作ろうと思ったときに、まず困るのが、N-chしかないため、コンプリメンタリーの回路が組めないことです。

準コンプリメンタリ(Quasi Complementary Feedback Pair)の設計例を探しても、なかなか適当なのがみつかりません。

そこで、LT1166のデータシートに出ている回路をベースにLTspiceでシミュレーションしながら、出来上がったのが、次の回路です。

BJT(2SC4883A, 2SA1859A)によるドライバ段を追加して、ボトムサイドはR26(120Ω)とR27(510Ω)のエミッタ・ディジェネレーションで、出力段(SCT2120AF)をフルスイングするように設定しています。

LT1166AudioAmpQC2

AC Analysisの結果は次の画像です。C1を3 pFに設定して、周波数特性を100 kHzまで伸ばしています。位相余裕、ゲイン余裕も問題なさそうです。

SiCMOSFETGainPhase

Transient Analysisの結果は次の画像です。THD(3Vpp, 20 kHz)は、0.062870%とまずまずです。

Trans3VppSin20k.PNG

最後に20kHzの矩形波応答を見ておきます。問題なさそうです。

Trans3VppPulse20k.PNG